「地方教会」最高責任者の発言の記録
この文書は主に元長老の菅○氏と日本の「地方教会」の統括的責任者である吉○氏の間で交わされた会話の記録に基づいたものである.日本の筆頭責任者とみなされていた重要な立場にある吉○氏の発言は記録して置くことに十分意義があるものと考える.この中において吉○氏の発言内容が,その良心の葛藤を経て著しく変化して行く様子がよく観察できる."主の回復"においては、しばしば個人の良心よりも、ウイットネス・リーの教えや導きが優先されるケースが見られるが、この吉○氏はその典型的症例と言える。文書の前半部は菅○氏が記録したノートをまとめたものである
INDEX
はじめに|吉○・広○両氏の以前の態度|吉○氏の現在の態度
はじめに
言うまでもなく神は人のうわべを見られるのではなく,人の内側を見られる.名前がどうであるかではなく,その実際に注目される.私たちは自分達を“東京にある教会”であり,私たちは地方教会であると誇らしげに叫んで来たが,それは神の目から見て正しいのだろうか.そしてその実際があるのだろうか.もしかして私たちはある宗派になりかけているのではないだろうか.もしそうだとすればそれは恐ろしいことである.この問題を冷静に検討するときは今であると私は痛感せざるを得ない.私たちはこの世の組織ではなく教会である.そして,
情勢は楽観視できない.正に危機的である.
ある人々は“そのうちリー派は凋落する.彼の年齢を考えてみよ”と言う.また“日本の主だった兄弟達はほとんど反リー派であるのだ.だから絶対日本はリー派になどにはならない.大丈夫,大丈夫”と言う.しかしはたして現状はそうであろうか.
I.吉○・広○両氏の以前の態度
日本の諸地方教会はこの両兄弟の大きな影響下にある.はたして諸教会はこの兄弟達を乗り越えて自分達の独立性を守れるであろうか.
A.吉○兄弟の態度
彼は反リーの発言を日本で最初にした人であるが,それにも関わらずリー兄弟に飲み込まれてしまった.彼の初期の発言の証人は多く存在する.
川○兄弟:1988年4月に吉○兄弟いわく“回復をやめたい.代価を払ったのにひどいことになってしまった.10月にリー兄弟がきて私を罪定めするだろう”/川○兄弟:“教会は変質してしまったのではないですか.”
吉○兄弟:“その通りだ”
○沢兄弟:1988年12月に吉○兄弟談:“事実を知らない人たちにはあなたがたが個人的に語りなさい.リー兄弟は明らかに間違っている.1月の曲兄弟の集会はリー兄弟の誤りを兄弟姉妹に宣言する機会なのだ”
菅○兄弟:“私(吉○)は別の集会を始めようとしたが思いとどまった.87年末の事であった.今は様子を見よう.とにかくリー兄弟のしていることは律法学者,パリサイ人と同じである.許しがたいことである”
以上の吉○兄弟の感覚はまったく主からのものであった.きわめて残念なのは,
1)以上の事実をそのまま教会の兄弟姉妹の前に置き,対応策は彼らに任せるべきであったのに,彼は事実を公表することを長い間ためらい続けたことであった.思いの中でいつまでも悩み続けるのならば,必ずリーに飲み込まれて行くと私(菅○)は見ていた.
2)彼の上に日本の諸教会の運命が懸かっているという事実の故,日本の諸教会を守るべく彼は勇気を持って立ち上がるべきであった.そうすれば多くの兄弟姉妹達も彼と共に立ち上がったはずである.
以下,菅○(S)と吉○(Y)の間の会話の記録によって,吉○の心の変化を追ってみたい.
・1989年1月18日(水)長老の集会にて:
リー兄弟が日本に来ることを希望していることを聞いて,
S:リー兄弟の来日は阻止すべきである.なぜなら曲兄弟のメッセージの直後である.曲兄弟のメッセージが無駄になる.(注:曲兄弟の特別集会は1月13-15日)/Y:誰が‘来てくれるな’とリー兄弟に言えるのか.
S:私はできます.
Y:聖書を読み語るという内容の話をしてもらったらいいではないか.
S:問題は話の内容でなく,誰が語るかである.
・1989年1月24日(火) 首都圏の長老の集会にて:
吉○兄弟いわく;
1) 1985年私は台湾に招かれた.それはフィリップ・リーを教会,働きの主役にする目的の集会であった.そこでは彼の前では直立不動になるのである.私はリー兄弟に言った.自分は行けません,と.
2) 最近フィリップ・リーの事が米国の新聞に載った.そこで皆さんは私と一緒に次のように答えて下さい.
・リー兄弟はフィリップを解任した.
・アナハイム教会はフィリップを除名処分にした.
・故に問題は解決済みである,と.
3) 次の3点を大切にしたい.
・主の言葉,聖書のみを模範とし,リー兄弟のしていることは模範にならない.息子の起用は見習うな.
・聖霊のみに聞くべし.人は間違うものである.
・主の御名のみを重んじる.
・1989年1月28日(土) 彼の家を訪問してゆっくり交わる:
吉○兄弟は元気そうであった.
S:水曜日のビデオをやめたらどうか./Y:私もどうしてよいか分からない.
S:ドイツ,香港をどう思うか./Y:リー兄弟をここまで追い込んだ功労者である.勇気がある.もちろん彼らは地方教会である.(曲兄弟,張兄弟,劉兄弟の違いを語り)劉兄弟は集会の中でリー兄弟を賛美している.兄弟姉妹にリー兄弟の事を話すときは話し方が大切.
S:大阪はもはやリー教会と言えるのではないか./Y:そういう言葉はないが事実はそうだろう.
S:吉○兄弟の作戦は分かるがもう少し押す必要があるのでは?/Y:・・・,台湾の90%はリー派である.萩○兄弟の真意を知るべきである.彼にだまされてはならない.
S:これからの青写真を教えてくれ./Y:分からない.
S:教会は自由でなくてはならない./Y:その通りである.東京教会に直接彼らの手が伸び,われわれを排除しようとすればその時は立ち上がるべきである.ローズミード,香港,ドイツも強い干渉を受けたので立ち上がったのだ.そういう時に立てば兄弟姉妹を得ることができる.今は香港,ドイツのようにやれと皆に勧めるわけには行かない.
S:あなたはリー兄弟に謝ったのか?/Y:はっきりと謝ったわけではない.しかし,リー兄弟の息子のことを兄弟達に話したことは彼に告げた.
S:しっかり真理の上に立ってもらいたい.あなたがリー派になってしまったのではないか,やる気はあるのか,と疑問を抱いたこともあった.しっかり真理に立ってくれるのであればいままでどおり協力したい.
Y:大阪は私が反旗をひるがえすのを待っているのだ.大阪に主導権を奪われるのは嫌である.今は東京には自由があるからよいではないか.
S:リー兄弟は精神病ではないか./Y:そういうところもある.
Y:リー兄弟の台湾での作戦が成功すれば,自由地域にも手を伸ばして来るかも知れない.棚○兄弟はフィリップは功労者であると言っている.
S:私が恐れるのはフィリップではない.リー教会になってしまうことである.私たちが宗派を出たのは真理のためである.なのにリー派になるのであれば宗派を出る必要はなかった./Y:今は様子を見るときである.彼は80歳であなたは40歳であるから勝敗は目に見えているではないか.リー兄弟は曲兄弟を恐れている.新聞にも載った以上,リー兄弟ももはや息子を立てることはすまい.フィリップを解任し,アナハイムの教会は除名したから問題はないと言おう.しかしその実際がなかったらその時は立ち上がってもいい.私と広○兄弟がリー兄弟に対して先手を打ち,福音書房を返すと言ったところ,リー兄弟は,いやそのままでよいと言った.これは大成功で,書房を取られずに済んだ.
ところが2月9日に至り,彼の態度は急変した.電話を受けた菅○は呆然自失そのものであった.
注)彼がここで急変する理由となる外的事実関係についてはある程度把握しているが、それをここで書くことはあまりにもおぞましいのでやめておく
・1989年2月9日(木) 吉○兄弟よりの電話:
1)この間,リー兄弟に謝らなかったと言ったが,実は手紙で謝ったのだ.そのようなことを言ってすみません.
2)レビ記のビデオをみて皆はリー兄弟についていく雰囲気である.どうにもならない.
3)曲兄弟を招いた後自分の病気が再発した.このことを通しリー兄弟に反対するのは私のすることではないと分かった.
4)私と一緒に歩んで下さい.そうしないと少数派になってしまうよ.
5)リー兄弟を招かなくてはならないはめになってしまった.
・1989年2月12日(主) 朝Aホールにて:
吉○兄弟と初めて対決する雰囲気で話す.
S:自分の良心に照らしてこの間のあなたの感覚は受け入れられない.劉兄弟は集会の中でリー兄弟を賛美しているとこの間言ったのに,なぜ劉兄弟を特別集会に招くのか./Y:それはリー兄弟のメッセージがすばらしいと劉兄弟が言っているという意味である.
S:劉兄弟を招けば当然彼はリー兄弟を招けと言うに決まっているではないか.
Y:それは予測できなかった.
(注:劉兄弟を招こうとしたところ,彼の指示によりリー兄弟を招かざるを得なくなったことを指している)
S:フィリップを除名にしたのは表面だけではないのか./Y:その真偽の程は分からないから,何とも言えない.
S:もし形だけ首にしたのであれば最も悪質である.なぜなら人をだまそうとすることだからである./Y:リー兄弟は今はよいメッセージを語っているからいいではないか.
S:今のメッセージがどうかということではなく,リー兄弟がどのような人間かということが大切だ.私は彼という人間性を受け入れられない.
Y:ニー兄弟の“教会の諸事”を読むと今のリー兄弟の実行と同じである.
S:ビデオを見て兄弟姉妹達はみなリー兄弟についていく構えだというが,それはわれわれが正しく導かないからそうなるのではないのか.事実を隠しすぎたのだ./Y:その指導は私にはできなかった.
S:私はわれわれがリー教会になることを恐れるのみだ.
Y:あなたは東京に住む人である以上分裂はできない.今ほとんどの人が右に行こうとするときに,一人だけ左というわけにはいかない.
・1989年2月12日(日)午後吉○兄弟よりの電話:
1)ここは何も言わずに譲ってもらいたい.
2)お許し下さい.すべては私に責任がある.
3)私は分裂病になりかけているのだ.
・1989年2月19日(主) 電話にて:
1)完全なリーダーはいない.パウロもそうだ.だからリー兄弟も失敗しうる.
2)リー兄弟の失敗は監督不十分の失敗に過ぎない.故にリー兄弟に罪はない.
3)われわれも罪を犯すではないか.
4)今私は裁かれている.その証拠が私の病気である.私の姉妹の病気も悪化している.命に燃えなくなった.私から主が去った.
5)曲兄弟も裁かれている.彼の妻が癌になったのはその現れである.
6)本当の感覚を言う.今はリー兄弟を離れてやることができなくなった.主が許さない.以前はリー兄弟とやるのが苦しかったのに...
7)リー兄弟は私たちを異端に導いたのではない.だからよいではないか.私はリー兄弟から離れられないのだ.
8)リー兄弟以外に導ける者はない.彼は謝ったではないか.
9)分裂を避けたい.そうでないと今までの努力が水の泡になる.
10)フィリップの罪の証拠は不十分である.
S:大阪と今のあなたはどう違うのか./Y:彼らのやり方は荒っぽい,そこが違う.
・1989年2月22日(水)電話にて:
Y:尻から血が流れる病気になった。これは裁きである。菅○兄弟もおとなしくしている方がよい。これまでいろいろあなたに話したが、これらを取り消します。権威に逆らった裁きである。すみませんでした。
・1989年3月6日(月) 菅○兄弟が吉○兄弟に電話して(○沢兄弟も同席):
S:あなたはアメリカへいくと聞いたが,事実ですか.
Y:私はそれどころではない.もうどうしていいか分からない.■■■■.主を愛する気持ちも失った.私は分裂病である.主の裁きを受けているのだ.
S:真理に立てばそのような病気は治ります.真理に立って下さい.
心配した私たちは彼のアメリカの親族に西○兄弟を通して連絡をとる.実際■■■■■■■■.○沢(K)は吉○兄弟の家を訪ねた.彼はやせ衰え,ひたすら頭を下げ続け;
Y:申し訳ありません.私がすべて悪いのです.私は■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■.姉妹をアメリカに送り届けてから,■■■■■.あなたがたが高田の馬場で集まって反リー運動をしていることが私を苦しめている.どうかリー兄弟に対して反対するのはもうやめて欲しい.彼にまつわる噂には十分な証拠がない.さもないと主の裁きを受けて,曲兄弟の奥さんのように病気になる.私も反リーの発言をしたために,今裁きを受けている.ドイツのジョン・ソーなども今は元気だけれども,そのうち主に裁かれる.私がすべて悪いのです.すいません.すいません.
K:兄弟,もう休んで下さい./Y:そうします.こうやってあなたと話している気力ももうない.
B.広○兄弟の態度
一方,広○兄弟はどうであろうか.
・1989年2月13日(月) 広○家にて(○島兄弟も同席):
広○兄弟の見解:
1)リー兄弟とその一派の崩壊は近い.その証拠は;
@今回のレビ記のメッセージで自分が何を言っているのか分からなくなっている部分があった.気力が衰えている.せいぜい40分しか語れない.かつての彼らの一枚岩の状態は崩れている.私たちにとってかつては脅威であった.
Aドイツ,香港,お膝元のアナハイムを見よ.それに新聞にも出た以上,何をか言わんや.
B日本の主だった兄弟達もはっきりしている.
Cリー兄弟は計算づくで動く人間ではない.情勢を見て乗って行く人である.
Dスキャンダルに蓋をするわけにはいかない.いずれ皆が知るようになる.
E彼らを正すことは不可能である.
2)われわれは断固として地方教会を守る.地方の立場をとる.リー教会にはさせない.
3)習志野では兄弟姉妹達に適切に語ったのでうまくいったのだ.
4)事実を知らせ,むしろそれを拡増のチャンスにすべきである.
ところが広○兄弟と共に台湾に行った萩○兄弟は桜○兄弟に向かって言った;‘私たちはリー兄弟に諭された.一つになって前進すべきであると.’
そして,報告集会で広○兄弟は次のように報告した:
‘台湾はすばらしい.何の問題もない.’
U.吉○氏の現在の態度
1.彼についての私たちの1989年3月の時点での予測
シナリオ1:彼は自分の良心の呵責で苦しんでいるのであるから,それをなだめなくては今後本当に生きて行くことができなくなる.そこで自己防衛のために,
1)リー兄弟を正当化する作業を開始する.それには私たちの存在はじゃまになるから排除しようとするだろう.
2)リー兄弟が正当であることになれば自分の良心の呵責からも逃れられて,おそらく彼は元気になるであろう.そしてますますリー側に立ち,結局は初めは自分が批判していたリー派の最右翼になるであろう.
シナリオ2:シナリオ1のようにすることは自分の良心を敵に売り渡すことである.吉○兄弟ほどの人がそんなことをするはずがない.そこでもしこのままであると,彼は精神的苦悩から廃人に至ることも有り得る.
2.彼の現在
はからずも現在の状況はシナリオ1の通りに進展し,吉○兄弟はまさにリー派の最右翼となったのである.自分が過去リー兄弟にまつわる事実に関する発言をしたが,それらはすべて噂に過ぎない.それを十分確認せずにばらまいた自分の犯した過ちを悔い改める,謝罪する,と彼は言って回っている.5月の特別集会ではリー兄弟を帝国ホテルにとめ,VIPなみの待遇を率先したのは彼であった.その後の彼の証言についてはここを参照。
注)吉○氏は1989年5月10日付け書簡において、「わたしの最初の葛藤はうわさ話からきたのですが、その後のは召会の分裂が最大の悩みでした。主に感謝します。今ではすべての問題が明らかになりました・・・私個人が口にしたことは過去数回にわたってその本人たちに謝罪しています。公で話したことは公で謝罪しております・・・わたしが過去ある兄弟に話したことですが,わたしの最大の過ちは聞いたうわさ話を直接リー兄弟にうかがってから、口にすべきであったことでした。そのことを今回することができて、すべてがはっきりしました。うわさ話は人から人に伝わるにつれて、変質してしまうことが分かりました。主がリー兄弟を用いておられる事実、そして回復訳、ライフスタディ等の聖書からのメッセージは彼の右に出る者がいません。すばらしい供給はみんなの霊的な糧となっていますし、わたしたちの生活、奉仕を確固たるものにする幻、啓示となっています」と弁明しています。しかしながら10年を経た1999年時点においては、彼の精神状態から容易に判断できる通り、私たちのこの2つのシナリオが共に実現した.